works014

神楽岡の四合院

この住宅は比較的ゆとりのある土地が起伏をもって連なる神楽岡の住宅街の一角に計画されたご夫婦2人だけの週末住宅です。子育てという大仕事をほぼ終えられ、これから再び訪れるであろう夫婦2人きりの生活を見据えていくと週末の過ごし方、お互いの距離感や趣味とのかかわりなど再構築された様々なシーンが想像されていきました。

私たちの設計はそこに誠実に応えるべく設計調書のなかの情報やたわいのない雑談の中からも「真に求められているもの」をあぶり出し未来予想図と重ね合わせながら空間構成、素材、ディテールに至るまでの部分を提案させていただきました。

今回クライアントが私たちに出した条件は2つ。「平屋であること」「居室から愛車が眺められること」でした。最初に土地を見た時に「中庭」というキーワードが自分の頭の中からどうしても離れなかったことから「四合院」という中国大陸においてはオーセンティックな建物の形状を再現するような提案となりました。

大陸とは土地事情が異なるため再現するにはいくつかの条件をクリアすることが必要でしたが、今回は200坪を超える敷地面積が確保されていたので、建物の中心にある(約5間×6.5間)の大空間をヴォイドとして削ぎ落とし、中庭として回遊性を持たせることが可能となりました。

中庭を囲むように取り付けられたリビングから寝室へと連続するテラス窓。この窓に切り取られた多様な空はクライアントを日常性から解放し、生活に真の豊かさをもたらすのに役立ちそうです。木質系の建材をミニマルに抑えたインテリアは温かみのある昨今のトレンドとは一線を画したもので、タイルやミラー、金属系の建材を多用することにより、幾許かの緊張感が走る空間に仕上がりました。

ただし造り込みない空間には余白としての部分を多く残しているので、将来的に突然目覚めることがあるかもしれない絵画やアンティーク家具など空気感を調整をする場合にも対応できることを想定しています。