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透徹の家

「透徹の家(とうてつのいえ)」が佇むロケーションは、旭川医大に程近い緑ヶ丘。閑静な住宅街に建つこの住宅がもつ、色も加工方法も異なる2種類の金属板をまとったフォルムは、同一素材なのに全く別のテクスチャーで表現されています。
「透り庭(とおりにわ)」と名づけられた中庭。四方をガラスに囲まれ、外部からは見えないオープンエアリビングの役割を果たしながら、奥庭とリビングを挟むような位置関係になっており、アオハダやドウダンツツジの植栽とともに、生活に変化と潤いをもたらしてくれます。
建物全体が前面道路と段差のある敷地に建っているため、内部はフロアレベルが4層にスキップする構造に。プライバシーを守りながら、外部空間へとつながっていくための「透り庭」を様々な角度から眺めることができるようになっています。
「住宅は空間が全て」という観点からシンプルにまとめられた室内は、ブラックウォールナット、ゼブラウッド、ナラ、タモなどの素材が造りこみすぎない程度の機能美を備え、それぞれの個性を主張しながらも調和を保っています。
住宅のアイデンティティ、ガラスのシークエンス。この2つの言葉をモチーフとして設計が始まった「透過の家」。完成した空間を見つめていると、我々が今回クライアントに課せられたひとつの「仕事」が見えてきます。
それは、「意匠を最低限にとどめ光をデザインするということ。」LDKには、天井面より高い位置に横長のスリットをいれて、南東、南西からの直射日光を間接照明のような柔らかな光に変換させて室内に落とし込むという手法が試されています。また「北の空が一番美しい」というクライアントとの共通意識の中で実現した北側の大開口。過去の住宅建築のセオリーに反するようなこの窓は、セルリアンブルーに染めあげられた空を映し出すプライベートシアターのようです 。